にじさんじ所属バーチャルライバー、鈴谷アキくんの卒業が正式に発表された。
アキくんと出会ったのは遡ること6年前、2018年の春。誰よりもリスナーとの対話を重んじていて、まるで僕たちの隣にそっと寄り添ってくれているかのような彼の配信スタイルは唯一無二であり、すっかり虜になるまで時間はかからなかった。(今だから正直に白状出来るが、初期の頃は彼にコメントを拾ってもらいたい一心で、いかにユーモア溢れるコメントが出来るか頭を捻っていた時期もあった。承認欲求に塗れた害悪リスナーと化す前に自制してROM専へシフト出来たのは幸いだった。)
アキくんへの「好き」の気持ちを創作活動に還元出来たからこそ、今の自分が存在していると強く感じる。僕は創作そのものに楽しさを見出すことがまずないので、創作という手段を続けるには何らか動機を必要とするが、この6年間でいかにアキくんが僕の原動力になってくれていたのかは計り知れない。
アキくんに対して抱いている好意にはあらゆる側面が含まれているけれど、やはり最たる気持ちとしては感謝に他ならない。アキくんと出会ってから僕は、自分ひとりでは決して目にすることが出来なかった景色をたくさん見せてもらうことが出来た。
それは「flos」のMVをお披露目した際の確かな手応えであったり、それは「Henceforth」のMV制作中に嗅いだ夏の匂いであったり、それは「女の子になりたい」のMVを制作した際のDiscordでyu-yaさんや栗山さんと交互に行った作業配信のワクワクであったり、それはまるで大人になってから全力で挑む文化祭のような、かけがえのない思い出づくりのような、少し遅めの青春のような、楽しい楽しい日々だった。
初めて卒業の話を伺った際、「そんなの嫌だ!ずっとアキくんに居てほしい!」と喚く度胸もなければ、かといって「残念だけどアキくんが決めたことなら僕は応援します」と決断を肯定する潔さも持ち合わせていなかった。結果、うんともすんとも、本当に何も言えなかった。それはこの記事を書いている今も変わらない。
別れを偲ぶこともない、新たな門出を祝うこともない、ただただ最後まで感謝を述べるだけの記事にさせてください。拙作ラットが死んだを大好きって言ってくれてありがとう。僕の作ったアキニウム光線を毎日長い間使い続けてくれてありがとう。フィンおじのチャンネル20,000人記念の時は配信に駆けつけてくれてありがとう。たくさんMV制作を依頼してくれて、僕に応援の手段をくれてありがとう。毎日の配信で荒んだ日々に彩りと癒やしをくれてありがとう。色んな景色を見せてくれてありがとう。鈴谷アキとして生まれてきてくれてありがとう。