カラフル(2010)
森絵都先生の原作「カラフル」は当時高校生だった頃に読んで大変感銘を受けた小説ですが、大人になってから最近読み直した流れから遅まきながら映画版をアマプラで鑑賞しました。結論としては残念ながら僕には全く合わず、原作の良い部分がことごとく省かれ、意図のよくわからないシーンばかりが追加された印象でした。
例えば家族が真に美術の高校を勧めるシーンや晶子がお見舞いにきたシーンなど、原作では多層的な意味合いを持っていたはずの場面がいずれも陳腐化しているし、ラストのオチにあたるシークエンスに至っては一番大事なトリガーとなる部分を何故省いたのか皆目検討がつきません。(こういう話をすると本当にキリがない。)
とはいえ映像化にあたって多少の改変や省略は当然のことであり、「監督が抽出しようと考えた原作のエッセンス」と「僕が大切に感じていた原作のエッセンス」が、ただただ致命的に食い違っていたというお話だと認識しています。駄作と断じるつもりは毛頭ありませんが、僕の好きな「カラフル」が此処にはなかったというのは事実でした。